開示業務について、「自分の携わっている業務のことは分かるが、他の人は何をやっているのだろう?」そのように感じている方も多くさんいらっしゃるのではないでしょうか?
企業情報の開示、その中でも財務情報に関する情報の開示について、今年度実施しました「開示業務スキルアップセミナー」のポイントと関連づけて4回にわたって説明します。
そもそも有価証券報告書のような企業情報の開示はなぜ必要なのでしょうか?
有限責任を前提とする株式会社では、株主から出資された資本の維持が必要になります。一方、出資した株主は投下した資本が回収できない(出資の払い戻しができない)と、出資することを躊躇することになります。そこで株主の投下資本の回収の手段として、株式の流通を促進させることが必要になります。
有価証券の流通促進を目的とする金融商品取引法では、同法の目的として「企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする」としています。
多額の資本を集積した大企業が現代社会では重要な役割を果たしていることは疑いのないことであり、このような背景の下、企業情報開示制度が整備されています。
ご覧になっている方の多くは開示する企業情報を作成されていると思いますが、その情報を見る側の立場に立ってみると、どのような情報を開示すべきかが分かってくるのではないでしょうか。